No.3
食べ物のおいしさは、味だけで決まるのではありません。におい、口当たり、食べるときの音・・・。そして、もっとも重要なのが、見た目です。
 食べ物がおいしいかどうかを決めるのに、味覚が果たす役割は10〜20%で、80〜90%は視覚によって左右されるといわれています。わたしたちは舌よりもむしろ目で食べているといっていいほど、食べ物や食卓の見た目に影響を受けているのです。
 そうなると、料理をいかにおいしく見せるかが、大きな意味をもっていきます。ここでは照明や食器、食卓、盛り付けなどの工夫で「おいしい食卓」を演出する方法を探ってみましょう。

食欲がそそられる照明の色
肉類をはじめ果物や野菜など、食べ物には赤やオレンジ、黄色といった暖色系の色が多くあります。暖色系の色は、自律神経を刺激して消化作用を促すため空腹感を誘います。
 ところが、せっかく食欲がわく暖色系の色を、蛍光灯の青みの強い光で台なしにしているケースが少なくなりません。新鮮な空気もさることながら、太陽の光が食べ物をおいしく見せてくれるからです。ダイニングテーブルの照明は蛍光灯を避け、赤みを帯びた白熱灯を選びましょう。
 
食べ物を引き立てる食器の色
料理がいちばんおいしく見せてくれるのは、どの色の食器だと思いますか。
 こう質問すると、白やクリームのように薄い色をあげる人がほとんどでしょう。でも、料理の最高の引き立て役は、じつは黒なのです。
 黒の食器が料理をおいしく見せてくれるというと、意外に感じる人も多いかもしれません。でも、黒の食器は思いのほか食卓にマッチし、料理をおいしく見せてくれます。輪島塗の器でもわかるように、色のなかでもっとも暗く色みのない黒には、他の色と組み合わせたとき、その色をよりあざやかに見せる効果があるのです。
 

食卓に彩りを添えるクロスやマットの色
おいしい食卓をつくるのに大活躍するのが、テーブルクロスとランチョンマット。とくに食卓の印象を決める大きなポイントになるのが、テーブルクロスです。食卓の大部分を占めるテーブルクロスの色は、いや応なしに目に入ります。料理が負けてしまうような強烈な色は避けたほうがいいでしょう。テーブルクロスに適した色は、食欲を起こされる暖色系の色。ピンクやクリーム、薄いオレンジなどが向いています。
 ランチョンマットの色は、いわばテーブルクロスのアクセントカラー。ランチョンマットを利用することで、食卓に表情が生まれます。たとえば、家族の誕生日や合格祝い、お正月などには、赤や黄色の和紙を使ったコーティネートで、おめでたい席にいっそう華やいだ雰囲気が生まれます。
 ランチョンマットは、余った布を利用して簡単につくることができます。お手製のものを何種類か用意して、料理やそのときの気分に合わせて自由に使い分けてはいかがですか。
 テーブルクロスとランチョンマットとの色合わせは、トーンで考えましょう。たとえばテーブルクロスがパステル調の黄色がベスト。ここでビビッドトーンの鮮やかな黄色を使うと、ランチョンマットばかりが目立ってしまいます。また、赤と黒といったコントラストの激しいコーディネートは、ふだんの食卓に向きません。こうしたコーディネートは、食事よりもむしろムードや華やかさ、個性を優先するパーティーなどでの配色に効果的です。
 

料理の盛りつけもカラーコーディネート
インテリアもファッションも、色をしぼり込むのが基本。ところが、料理に関しては、反対に色をできるだけ多くしたほうが、食べ物がよりおいしく見えます。どんなにおいしい刺身でも、大根やしそ、海草などのツマがなければ味気なく、おいしさも半減してしまいます。
 おいしく見せるためには、一品あたり、少なくとも3色は取り入れるようにしましょう。肉じゃがも、肉とじゃがいもだけでなく、にんじんやグリーンピースを加えると彩りがよくなり、食欲がそそられます。オムライスにしても、黄色い卵焼きに赤いケチャップをかけ、さらに緑のパセリをつけ合わせることで、よりおいしく感じられます。
 お皿の上が何となく寂しいときは、盛り付けに反対色をもってくるのが、おいしく見せるコツ。わたしたちは当たり前のように、グリーンサラダにプチトマト、ステーキにクレソンを添えていますが、これは色の心理的効果からも理にかなっているのです。赤と緑は、おたがいの色を引き立てる補色の関係。そのため、料理をより華やかに演出してくれます。

「色彩心理NOTE」より
監修 ヨシタミチコ

 
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